Scribble at 2024-03-13 23:19:15 Last modified: 2024-03-13 23:27:29

添付画像

実例を何も出さないというのも説得力がないだろうから、プロのデザイナーがちゃんと仕上げた紙面をご覧いただこう(紙に印刷するとは限らないから紙面や版面ではなく「画面」と言ってもいいが)。もちろん具体的な記載内容はブラーをかけさせていただいている。

PDF 形式だけではなく印刷した会社案内についても、昔から思っていた事があって、今回からノンブルを付けないこととした。正直なところ、多くてもせいぜい30ページ以内の印刷物にノンブルだ目次だというのは大袈裟な気がする。会社案内を利用するシーンは、求職者なり新規取引先の担当者なりを相手にするという典型的なシーンを想定すれば、順番にページをめくりながら自社の説明をするということだろうから、目次を使って探さないといけないような用途で使ったりはしない筈だ。それに、途中のページに記載されている会社概要(company facts のこと。本社の所在地や資本金や従業員数などのデータを掲載する箇所であり、これを間違って "company profile" と英訳する人が日本には非常に多い。英語を使うなら、せめて海外の会社案内の PDF くらい見てからにしたほうがいい)を探したいという場合があるとしても、たかだか30ページ以内の小冊子に目次やノンブルがないくらいでユーザビリティの問題になるとは思えない。

上に御紹介しているのは、弊社でウェブ・コンテンツの受託制作を担当する部署の事業紹介のページだ。クリエーティブにかかわる部署なので、それなりにグラフィカルな要素を盛り込んで訴求するような設計にしてあるが、もちろんこれは相手の偏見に合わせているだけのことだ。本来、ウェブ・コンテンツやウェブ・アプリケーション制作の本流は情報設計と HCI とコンピューティングであり、ビジュアル・デザインは副次的な役割である(もちろん、だからといって軽々しく扱うわけではない)。ただ、どうしても「デザイン」というとお絵かきさんの話だと思ってる人が多いので、そういう偏見に無害な範囲で適応させているだけのことだ。別に馬鹿にしているわけではない。無知や不見識というのは、馬鹿と同義ではないからだ。馬鹿でない限りは教えたら分かることだとは思うが、会社案内は相手を教育したり諭すためのツールではない。よって、先の落書きでも述べたように海外企業の会社案内には経営理念や経営者のメッセージなど掲載しない場合が多いのだ。

なお、ちょっと皮肉なことだが、上のページで背景に使っているイラストは Stable Diffusion で出力した abstract 風のイラストを三つほど組み合わせて制作した画像を敷いてある。クリエーティブということなら、自社のデザイナーに制作してもらうほうがいいのだろうけど、まぁこういうことはよくあるのだ。有名なウェブの制作会社でも、コーポレートサイトは別の(下請けの)制作会社に作ってもらってるなんてことは、この業界にいたら誰でも知ってることだが、意外に多いのである。自分で手掛けてもいないサイトで自社のクリエーティブを語る会社がたくさんあるのだから、自社の(管理部署の事務屋だが)デザイナーの一人が生成 AI を使って何がいけないのかという気がする。

  1. もっと新しいノート <<
  2. >> もっと古いノート

冒頭に戻る


※ 以下の SNS 共有ボタンは JavaScript を使っておらず、ボタンを押すまでは SNS サイトと全く通信しません。

Twitter Facebook