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畑中武夫『宇宙と星』(岩波新書、青版 G12、岩波書店、1956)

70年近くも前の本であるから、今や天文学の知見として訂正を要する内容もあろうから、一読を勧めたい本ではない。それでも、中学時代に読んでから書棚に残っている、数少ない天文学の本の一冊だ。あと他に中学あるいは高校時代から持ち続けている天文の本と言えば、長谷川一郎氏の『天文計算入門』(天文ライブラリー、恒星社厚生閣、1978)くらいである。

新書1冊の半分を殆ど HR 図だけで解説していると言ってもよく、それはつまり主系列星のライフ・サイクルを解説していることにもなる。そして後半は銀河の解説になっていて、地学の副読本としても有用だったという記憶があるし、それ以前に読んでいて興味をそそられる良書とも言えるだろう。そして、僕はこういう本を「通俗本」という侮蔑語で表現するつもりはない。やはりこういう本こそ「啓蒙書」と言ってよいのだろう。俗書であるかどうかは、内容、あるいはその本を読んだ人が僕を含めてどう評価したり、何をするかによって異なる。したがって、同じく岩波新書という体裁でも、どうしようもないクズみたいな俗書はあるわけで、問題は外形や形式ではない。

ということであるから、いまさら何度も読み返そうとは思わないし、他人に薦めるわけでもないが、自宅の蔵書として残る一冊だと思う。

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