Scribble at 2024-01-31 08:32:00 Last modified: 2024-01-31 09:16:32

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Integer linear programming can help find the answer to a variety of real-world problems. Now researchers have found a much faster way to do it.

Researchers Approach New Speed Limit for Seminal Problem

こうして、或るテーマについて優れたアルゴリズムが新しく出てくるのは興味深い話だ。

僕が科学哲学の研究者として関心を持っている統計的因果関係とか因子分析という分野でも、色々なモデルが提案されているし、統計解析の問題としても多くの結果が出ていて、僕は probabilistic causation という哲学の話題として関心をもっているにすぎないのだが、それでも工学的な成果から学ぶことも多い。この分野の教科書では、冒頭に哲学的な話題が紹介された後に、「哲学者は殆ど工学的な解析に関心をもっていない」などと言われたりするのだけれど、それは端的に言って科学哲学という分野の成果に関する勉強不足にすぎない。そして、哲学と独立に議論できるという自然系の研究者に特有の思い込みは、大昔から特定の哲学を無自覚に仮定して非常に視野の狭い考え方にとらわれるという気の毒な経緯をたどってきているのだ。自分たちのやることが、工学的どころか数学的にも袋小路へ突き進まないよう、少しは哲学的な話題だけでなく基礎をしっかり考え続ける必要があると具申したい。

さて、それはともかくとして、ここでの話題は linear programming である。で、この分野は誤解されることが非常に多いことでも知られている。その理由は、"programming" という言葉を "coding" という脈絡で誤解する人が非常に多いからだ。同じく、"probabilistic programming" というトピックについても、生半可な知識をもつ人に限って「遺伝的プログラミング」の一種だと誤解したりする。"linear programming" は、日本語では「線形(線型)計画法」と言って、企業経営でも複雑で多数のパラメータ(とは言え一次方程式なのだが)から表されるモデルの最適解を求めるオペレーションズ・リサーチとしても活用されている。特に、中小企業でも原材料の調達や生産工程の管理を厳しくやっている一次産業や二次産業では、こういう手法を使ってパフォーマンスを丁寧に測定しながらマネジメントしているだろう。もちろん、そういう実務において何らかの「プログラミング」は活用するわけだが、しかしこの場合の "programming" は、そういう意味で使っているわけではない。

こういうのも一つの事例だが、自分たちの使っている意味合いが「もともとの意味」だとか「正しい意味」だとか、あるいは「唯一の意味」だと思い込む人っているんだよね。特に英語を始めとする外来語については、"programming" と言うだけで、コンピュータにコードを打ち込んだり、プログラムを設計する作業のことだとしか考えない人がいる。でも、英語の辞書を引けば分かるように、"program" には "scheduling" とか "planning" の意味があって、それは英語でテレビ番組のことを "tv program" と言ったりすることでも分かるだろう。

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