Scribble at 2024-03-21 08:13:53 Last modified: 2024-03-21 23:38:49

先週は会社案内を制作して、PDF で社内にリリースして好評を得た。昨年までと比べて、かなり気合を入れて制作しただけあって、印刷物の DTP をやっているデザイナーからすれば幾らでも改善の余地は指摘できるはずだが、1年前の自分自身からは一言も文句を言わせないというていどには、タイポグラフィ、エディトリアル・デザイン、インフォグラフィクス、写真の扱い、情報設計という殆どの点で、ステージの違う成果を出したと自負している。結局、他人からの評価だけでなく、過去の自分自身を圧倒していればデザイナーとしての成長が止まっていないわけなので、いちおうの納得はできる。

そして、次に取り組むのが弊社のコーポレート・サイトである。これは、既に当サイトでもコーポレート・サイトの運営やデザインについて論説を公表しているので、もちろん設計や制作あるいは運営の実務についても、実例を supplementary なコンテンツとして御紹介できれば、その論説に付け加えたい(かなり長大なページだから、ウェブ・ページとしては別に公開すると思うが)。

まず設計の話からすると、与件として弊社は B2B サービスを主事業としているので、たとえばペルソナとしても学生やエンジニアや大道芸人がアクセスするという想定はしない。あくまでも全国の個人事業主だったり(おお、そういえば大道芸人は個人事業主だったな。失礼した)、あるいは企業の人事担当者だったり、広告代理店のディレクターだったりするので、過剰なブランディングは逆効果だ。トップ・ページのヘッダーに巨大な写真を貼り付けたり、押し付けがましい経営理念の長文を並べるようなことは慎むべきである(あってもいいし掲載してもいいが、優先して提供するようなコンテンツではない。企業の「ファンになってもらう」というフレーズが10年くらいまえからマーケティング業界や経営学で流行しているが、それは経営者をカルトの教祖やアイドル歌手に仕立て上げるような話ではないのだ。これは B2B に限らずコーポレート・サイトの原則として、company facts に「白粉(おしろい)」を塗ってはいけないのである)。

こういうことを書くと誤解されやすいのだが、過剰なブランディングを避けるからといって、サイトをビジュアルとしても無骨に設計すればいいというわけではないし、企業情報を並べるだけでいいというわけでもない。過剰なブランディングを避けるというのは情報設計の話であって、コンテンツのウェイトの話なのであって、ビジュアルの話をしているわけではないからだ。したがって、僕らのようなレベルのデザイナーであれば、あたりまえだが過度なブランディングを避けながらでもクォリティの高いビジュアル・デザインを設計できるし、その才能があれば(時間と待遇の範囲で)やるべきである。

それから他の与件として、現行のコーポレート・サイトで受けている問い合わせの内容に、かなりクラウド・ワーカーなどによる出鱈目な営業メッセージが増えてきているため、これをフィルタリングする仕組みを取り入れる予定だ。具体的には、問い合わせ内容は Google Chat の専用スペースに Webhook で投稿して経営会議メンバーが閲覧しているので、一人でも NG の絵文字を付けたら、ドメインをブラックリストへ登録して、問い合わせのデータは保存するが Google Chat へは投稿しないようにするわけである。特に、ここ2年くらいのあいだに急増している "headless chrome" を使ったプログラムによるバラマキを実施しているような企業やサービスは、おおむね無視したところで何のリスクにも機会損失にもならない。これは、もう25年くらいネット・ベンチャーなりウェブの制作会社で問い合わせフォームの運用をしている実感として断言できる。もちろん、営業メールに応じて弊社から照会するという事例が全くなかったわけではないが、その結果はすべて無駄だったことが分かっており、中途半端でイージーな好奇心だけで照会することは逆に慎むべきであるという教訓になっているほどだ。要するに、営業メールなんて全て無視してもいいのである。

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