Scribble at 2024-03-27 19:31:01 Last modified: 2024-03-27 19:33:01

過剰で殆どビジネス上の効用もなければ、ブランディングに資する効果すら無いものの一つに、「パララックス効果」というのがある。一部のウェブサイトで使われた事例をきっかけにして、世界中でコーディング小僧が意味もなく猿真似したことで「先進的」という錯覚が広まった。もちろん、視差を利用したビジュアル効果というのは、もっと昔からあったし、Flash で実現していたデザイナーなんて腐るほどいたわけだ。いまさらこんなものを発掘してきて「先進的」なんて言ってるのは、古民家の蔵で見つけたガキの玩具を「宇宙人が残していったものだ」と喚く馬鹿と同じである。

もちろん、アクセシビリティやユーザビリティといった概念の、本来のコンセプトについて理解している方々であれば、この手の話がアクセシビリティやユーザビリティと関連付けて議論されていなくても、デザイナーとしての嗅覚みたいなもので避けようとするだろう。この効果は認知心理学において視覚に強い印象を与えると評価されているのは確かだが、とりわけページの背景などに使うと本来のコンテンツから注意が削がれてしまって逆効果であることが明白だ。こんなことくらい小学生でも分かる。また、これにくわえてパララックス効果を利用したビジュアル・デザインの大半は、僕らのような高齢者だけではなく、一部の発達障害の人々に無用でしかも強いストレスを加える、言わば「デザイン傷害罪」と言えるような愚行である。

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