Scribble at 2024-02-10 09:06:30 Last modified: 2024-02-10 10:10:51

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Bard から新しく名前も Gemini となってパフォーマンスが改善されたというから、須恵器について調べてみた。なるほど、或るていどの辞書的なレベルのやりとりなら、それなりに有益なツールだろう。でも、少し詳しく質問したり突っ込むと、急激にあやふやな回答を返し始めるのは、あいかわらずだ。

たとえば、須恵器について編年研究の参考になるサイトを紹介してもらうと、「奈良国立博物館 須恵器データベース」(そんなものは存在しない)、「公益財団法人 古代学研究センター」(これもない。そもそも「古代学」というフレーズは森浩一先生だけでなく色々な人が使っている)、それから上の画面に出てくる「須恵器研究会」なんてのが列挙されるのだけれど、どれもまったく検索できないし、証拠として URL を教えてくれと頼んでも、現時点では URL を削除してしまうらしい。もちろん、Google は原則としてマーケティング企業であるから、どのみち将来は回答に「ネイティブな」広告を混ぜて回答するのだろうけど、いまのところは敢えて URL を全て削除しているらしい。現状だと、ユーザのフィードバックを悪用されて、不当な宣伝や詐欺サイトへのリンクを「学習」させられてしまうリスクがあるからだ。

いまのところ、須恵器について最も詳しく解説が読めるのは、この前も御紹介した京都文教大学のサイトだと思う。ただし、あの規模のコンテンツを擁しているサイトですら、須恵器の編年についての解説はごく基本的なことだけである。オンラインだけで須恵器の編年を体系的に学び、おおよその制作時期を判定するための原則を素養として身につけることはできない。やはり、最低でも中村浩氏のような専門家が書いている何冊かの本を精読することが必要だろう。大型書店で手に入る本としては、『須恵器』(考古学ライブラリー、ニュー・サイエンス社、1980)が手頃だ。考古学の学生であれば、古本だが『和泉陶邑窯の研究 ― 須恵器生産の基礎的考察 ―』(柏書房、1981)がいいと思う。精密な編年の議論が体系的に展開されていながら、古本では気の毒に2,000円以下で投げ売りされているからだ。ただ、大半の生半可な考古学ファンが手を出しても読めるレベルの本ではないから、安易に手を出してすぐに売り払ってしまう人が多いのだろう。あと、まぁ考古学に興味がある素人の大半は高齢者なので、こんなことを言ってはなんだが遺品整理として古本屋に回収されているという実態もあろう。

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