Scribble at 2024-01-04 15:34:02 Last modified: unmodified

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当サイトでこれから公開する予定のコンテンツだが、もう少し丁寧に調べたり作り込んで、上記のような電子書籍の体裁にしたいと思っている。別に出版するつもりはないし、有償で販売するつもりもないのだが、先にも書いた通り僕自身がモニターで文字を眺めるのが辛くなってきたという自分自身の事情から、やはりモニターで文章を読むのが当たり前という生活は、どう考えてもヒトという動物の生理にとってはリスクがあるし、それが僅かで長期的な影響を及ぼすのであれば、その影響を長年にわたって被った僕らこそが、率先してこういうリスクを若い人々に訴えたほうがいいのだろう。いや、いまでも高校生ですら若年の老眼みたいな症状が出てきているというし、そう何十年も待たずに多くの人に影響が出てくるのかもしれない。

そして、重要なことは、為政者や企業の経営者は、絶対に個々のカスタマーや国民のことなど考えないということだ。彼らは善人だろうと悪人だろうと関係なく、多くのステークホルダーの調整をするのが仕事であって、良い悪いにかかわらず彼らの意思決定は統計や見込みやトレード・オフといった数値での判断となる。よって、極端なことを言えば自分の判断で家族が被害を負うかもしれないのに、彼らはそういう判断をセざるをえない。中には、よく言われるようにアスペルガーとして何の良心の呵責もなく判断する人だっているとは思うが、心苦しくても、彼らはそういう判断をせざるをえないのである。よって、僕らは為政者や経営者に文句を言っているだけでは物事は解決しないと気づくべきであり、リバタリアンや共和党の支持者が言うまでもなく、自らの生活や健康や財産を自分たちの力で守ることを考えなくてはならない。

IT 業界の人間やオンライン・サービスの人間は、カスタマーや登録ユーザや消費者に向かって、「モニターを長いあいだ眺めるべきではない」などとは絶対に言わない。女子供が長時間にわたってモニターやスマートフォンの画面を眺めてくれていたら、それだけ儲かる確率が上がるからだ。僕がオンライン・サービス業界の人間でありながらモニターや画面を長く眺めるべきではないと言えるのは、当サイトが電通を株主とするネット・ベンチャーの情報システム部長が運営するサイトではなく、哲学者のサイトだからに他ならない。

さて、そういうわけで少しは書籍の体裁に見合うようなコンテンツを公開していきたいと思っていて、そのモデルとしていつも考えているのが、いわゆる「ブックレット」だ。論文とまで専門的な体裁をとるわけではないし、かといって Oxford University Press の VSI (very short introduction) だとか、あるいは Cambridge University Press の Cambridge Elements のような体裁だと分量として多すぎる。とてもアマチュアが1年に数本も公開できるようなレベルではなくなってしまう。その点、ブックレットだと、分量としても論文と VSI あるいは新書本とのあいだくらいの文字数で、そのへんのバカどもが ChatGPT に下書きさせるようなコタツ記事をはるかに超える情報量と厳密さと正しさを維持する文章が、僕のようなアマチュアにも手掛けられるというわけである。

実際に分量を調べると、僕が所持している『介護認定 介護保険サービス、利用するには』(小竹雅子、水下明美/著、岩波書店、岩波ブックレット No.770、2009)だと、62ページで、1ページあたりの文字数は 43字 x 18行 = 774字 x 62ページ = 47,988字となっていて、400字詰め原稿用紙で約120枚となる。コクヨなどから発売されている原稿用紙(50枚)で3冊弱というから、僕らのように学術論文を書くという訓練だけでなく、プライベートでも同人誌を作っていて文章を大量に書く習慣がある人間からすれば、原稿用紙3冊も使わないというのは、意外に少ないという印象がある。ご参考までに、当サイトのコンテンツの分量と比較してみると、「JavaScript の生い立ちを探る」(https://www.markupdancing.net/archive/20081111-083300.html)という論説を、タイトルから書誌情報まで数えてみると、44,431 バイトあった。日本語として表記すれば文字数は半分になるから、原稿用紙に詰めると 22,216 文字ということになり、要するにさきほど紹介した岩波ブックレットの半分くらいの分量ということになる。逆に言えば、ブックレットの体裁で論説をまとめるのであれば、この「JavaScript の生い立ちを探る」というページの倍くらいは分量が必要だということになる。もちろん、分量を確保するためだけに不要なことをあれこれと書き足すという愚行は避けなくてはいけないので、結果として岩波ブックレットの半分くらいの分量になろうと、それは別に構わない。

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