Scribble at 2024-03-12 08:33:29 Last modified: 2024-03-18 23:12:55

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『TOEFL TEST上級英単語2500』(フィリップ・タビナー/監修、AmEnglish.com/編、東進ブックス、ナガセ、2016)

この一ヶ月ほど、例の辞書を使った英単語帳と従来の英単語帳とで、覚えやすさや覚えている単語の数、つまりは効果に違いがあったかどうかを試していた。利用している研究社の辞書は御紹介したので、比較対象とした従来の英単語帳を御紹介しておく。『TOEFL TEST上級英単語2500』は TOEFL で出題される設問の頻出英単語を元につくられていて、ランクが下の「必修英単語2500」はともかく、こちらの「上級英単語」は知らない単語が多かったので活用してみることとした。ちなみにだが、この本は単語の選び方は良いと思うのだが、例文の日本語訳は質が悪いので、あまり参考にしない方がいい。

おおよそ両方とも40個前後の単語を1日10個ずつ抜き出して覚えた後に、復習を行った。復習の頻度としては、翌日、1週間後、2週間後、1ヶ月後として、1ヶ月後にどれだけの単語を覚えているか確認した。つまり2月1日に初めて覚えた単語なら、2月2日、2月8日、2月22日、そして3月1日というスケジュールで単語帳を開いては、意味を覚えているかどうか確認し、忘れていれば覚え直したわけである。

まず結論から言うと、記憶が曖昧で正確な訳語が何だったのか思い出せなかった単語は、それぞれのやり方で一つか二つくらいだった。逆に言えば、意味が思い出せなかった単語は一つもなかったと言える。翻訳の仕事なら問題はあろうが実用上は問題ないだろう。したがって、単語をアルファベットの順番に並べようとランダムに並べていようと、単語の記憶に関して効果や当否は変わらないと言える

これは、僕にとっては当たり前の結果だった。なぜなら、単語帳には単語と意味を列挙するような書き方ではなく、以前も御紹介したように覚えるべき単語だけを赤字にした例文を書いているからだ。つまり、どちらのやり方でも文の中に置かれている単語の意味を思い出すということになり、文の脈絡から単語の意味は思い出せるという点で違いがないのである。そして、文の中で思い出すというスタイルを採用したからといって、「それだと脈絡がヒントになってしまうじゃないか」などと言って、こういうスタイルが何か不純で不正な覚え方であるといわれる筋合いのものではないだろうと思う。現実に僕らが言葉を覚えるときには、なんであれ必ず一定の脈絡において単語がどういう意味で使われるかという情報と関連付けて覚えるはずだからだ。それこそ、「子どもの習得方法が最強だ」説の信者と同じく、子供だって単語と意味を1対1で対応させただけの単語カードみたいなもので言葉を覚えるわけではない。寧ろ、そういう付帯情報を一緒に覚えなければ、コロケーションを分かっていない言葉の運用になってしまい、それこそデタラメな会話や記述をする(むつかしい言葉を覚えたばかりの子供みたいに文語を会話に使うとか、あるいは日本のクズ営業みたいに口語表現をビジネス・メールで使うといった)羽目になる。

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