Scribble at 2024-02-08 10:17:22 Last modified: unmodified
ウィラ・キャザーの A Lost Lady を当サイトでも掲載することとした。ちなみに、この作品をもっとテキスト批評の材料として精密に扱いたいというプロパーの方は、ネヴラスカ大学の Willa Cather Archive (https://cather.unl.edu/) で公開されている方の "The Willa Cather Scholarly Edition" (1997) を参照されるとよいだろう。これからこの作品を日本語訳として出すなら、この The Willa Cather Scholarly Edition に加えられている丁寧な注釈は非常に参考になると思う。実際、この作品を読んでいると、やはり19世紀のアメリカの開拓史などについて詳しく知っておかないと的確な言葉の選択は難しいと感じる。
それから、僕が読んだ厨川圭子氏の訳文は、ところどころに前後の助詞や助動詞と区別するための傍点が付けられているのだが、これは膠着語としてひらがなだけの名詞が前後の助詞や助動詞と見分けて読み辛いという事情によるものであり、当サイトでも「はてな」とか「さくらインターネット」等、ひらがなを使う社名や商品名をわざとローマ字で表記しているときに僕が書いているのと同じ事情である。しかし、文学作品でこの用法を使うと、いたずらに名詞が目立ってしまい、現在の日本語用法では無用なニュアンスを読み手に与えかねない。これは現代の日本語の文章では避けたほうがよいと思う。