Scribble at 2023-03-01 09:51:32 Last modified: 2023-03-01 10:34:04

引き続きとなるが、参考になるとご紹介した三重県松阪市で刃物店を営む月山氏のブログ記事から、彼が関わっている一般社団法人日本包丁研ぎ協会なる団体の YouTube 公式チャネルで、いくつかの動画を眺めてみた。なるほど、髭剃りなり剃刀についても当てはまることがある。それは、剃刀だって髭を剃る道具なのであるから、道具としてどう扱えばいいかとかどう砥げばいいかという問題は、そもそも髭がどう剃れることが良いことなのかという話から出てこないといけないわけである。彼らの言う通り剃刀についても、剃った後の皮膚とか髭の状態と関係なしに剃刀としてどう研ぐべきとかどう扱うべきなんてことを議論するのは、恐らくナンセンスであろう。

従って、やはり自分の直感として皮膚科学やコスメティック・サイエンス、あるいは使うローションやオイルやソープの生化学や無機化学としての効能なりリスク、それから剃刀を肌に当てるわけなので、鉄鋼という素材について材料工学的な観点での特性を知るとか、そういった多くの分野の知見を活用することが望ましい。もちろん、TikTok でウンコしてる動画を公開して喜んでるようなレベルも同然のガキに、そういう知見を積み上げることなど(動機としても、あるいは学識としても)できぬ相談なので、もちろん意欲があって現実にやれる学識をもった人間が、議論や結論の正否なり理解の程度に不足があるとしても、やるべきなのであろう。もちろん、もっと経験があり、色々な剃刀を持っていて使っている人はたくさんいるわけなので、人の書いたものを鼻で笑ってオタク話に興じる暇があったら、ぜひそういう方にも記事の一つくらい書いてもらいたいという気分はある。とにかくオタクやコレクターというのは、ニッチな情報の積み上げによるマウンティングばかりで、理論とか議論の積み上げというのをしないから困る。「俺はこの剃刀のこんな逸話を知ってるぜ」とか「俺は手に入りにくいしかじかを持ってるぜ」みたいな話ばかりなのだ。それでは何も進まない。僕がよく言う(岸君には気の毒だが)「日本の社会学」と同じで、単なる素人の博物学だ。

  1. もっと新しいノート <<
  2. >> もっと古いノート

冒頭に戻る


※ 以下の SNS 共有ボタンは JavaScript を使っておらず、ボタンを押すまでは SNS サイトと全く通信しません。

Twitter Facebook