Scribble at 2024-04-29 11:55:29 Last modified: 2024-04-30 09:54:10

アマゾン・プライムのアニメ作品を眺めていると、もう半分くらいがいわゆる「異世界転生モノ」というありさまで、おそらく原作がラノベであろうから、ラノベもまた多くが同じプロットで書かれているのだろう。正直なところ、もう興味を惹くような設定は尽きているような気がするし、これに輪をかけて「現代の若者の、先が見えない鬱屈した状況を反映しており云々」というクズみたいな評論も書く意味がない文章となっている。そんなことで書いたり描いている当人や読者にとって何の影響もないからだ。たぶん、そんな評論を書いている評論家本人にとってすら無意味な文章であろう。生成 AI に評価させても、そのていどは秒で出力するだろうし。

こう言っては身も蓋もないが、そもそも文学作品は全て「異世界モノ」である。たとえノンフィクションであろうと、不当な嘘やデタラメを描いていないというだけであって、真実や真相なんてものは描けないからだ。そこには何某かの解釈や仮定があり、物事を描くにしても(全ての視点や脈絡を盛り込むわけにはいかないし、自分が気づいていない視点や脈絡は盛り込みようがないという意味で)限界があるために、必ず誰かにとっては「違う」と感じられるような、世界の異なる切り取り方で話を展開させる他にない。だからこそ、"true story" とは言わずに "non-fiction" という否定形でしか表現できないのだ。(ちなみに、洋書を読む人はご存知のように、"true story" などというフレーズを臆面もなく掲げている出版物というのは、アメリカの出版業界では、陰謀論、大袈裟に脚色された殺人事件の記録、あるいは名も無き人々のセンチメンタルで些末な回顧録といった、たいていは読むに値しない紙くずのことなのである。)

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