Scribble at 2024-06-27 14:48:33 Last modified: 2024-06-27 15:36:27

添付画像

VTUBERのマーケットについてネガティブな視点で所感を書いてみます

モデリングしたキャラクターをリアルタイムのモーション・トラッキングで処理するという技術的なハードルは、登場してから短期間で普及してしまった。いまや小学生がスマートフォンで配信できてしまう時代だ。そういう一般向けのアプリケーションと比べたら、フル・トラッキングだとか、あるいは表現できる動作とか表情とかはプロ仕様が優れてるんだろうけど、でも言っちゃ技術的な困難とは別の話であって、金さえあれば誰でもできる時代になったのだから、特に次元の違う話でもなくなってるわけじゃん。なので、わざわざテレビに Vtuber のキャラがたくさん出てこなくたって、それで普及してるかどうかを語る根拠にはならないんじゃないかと思うんだよね。あの、ネットで拾ってきた動画をつるっパゲの芸人と Vtuber が眺めて騒いでる深夜番組とかでも(いまどき22時台を「深夜」なんて言ったら、小学生にすら笑われる感覚だけど)、あれって全く同じ体裁で YouTube の素人がやってるよねって話だよ。

ただ、Vtuber ってどう考えてもキワモノじゃん。これまでテレビに出てきた、ルッキズムとしか言いようがない基準で扱われてきた「枠」に選択肢として加わったわけだよね。なので、選択肢としてはもちろん今後も活用はされるだろうと思うけど、その手の枠から出るのって相当に難しいと思うんだよ。たとえば Vtuber が大河ドラマに出たり、あるいは政治評論家として NHK の『日曜討論』に政治家や大学教授と並んで出演できるようになるかっていうと、それはないわけだよね。これからメディアに出るチャンスが広がるとしても、せいぜい歌番組が限界で、やっぱりバラエティが大半だと思う。だって、Vtuber のキャラって、なんだかんだ言ってもアニメキャラしかいないじゃん。実写系のキャラって殆どいないわけで、そういう意味では見栄えとしてキワモノであるところから出ることは無理なんだよ。

それに、キワモノの芸人扱いされるところから出られない大きな理由の一つとして、「無署名」という決定的な特性がある。Vtuber が大学教授になったり政治評論家になれないのは、その後ろにいる、発言の責任を負うべき人物が不明だからだ。巨乳のおネーサンとしてトラッキングされてる対象がオッサンでも AV 女優でもガチの声優や芸能人でもいいし、ゴスロリ幼女の中身が孫正義や東浩紀だったとしても驚かないけどさ、誰であろうと、何か事故があった場合にキャラを「引退」させるだけで法的な責任が問われないようなことだと、Vtuber を利用して活動すること自体が或る種の脱法行為になってしまうわけだよ。キャラにならヘイト・スピーチや名誉毀損になるようなことを言わせても、ケツをまくって引退させたらそれで会社としてはリセットになるわけだし。そんなことが許されるわけねーじゃん・・・という、どこかにいかがわしさを感じる人が、やっぱり多いんだと思うよ。生成 AI が吐き出してる記事だけで成立してるニューズ・サイトなんてものがあったとしても、たぶん誰も信用して利用したりしないというのと同じだ(キュレーション・サイトやアグリゲーターを、WELQ 級の大学生や主婦が運営してるとしても)。そして、それは僕には凄く健全な感覚だと思える・・・ダサいかね、それとも古臭い?

ということで、飽きられたんじゃないかというのも、少し違うような気がしている。個々のキャラはともかく、いま議論しているのは Vtuber というリソースの話だからだ。キャラとして飽きられたら、一発屋の芸人と同じで誰も番組に使わなくなるんだろうけど、恐らくこれからも Vtuber という選択肢は残るんだ。まず、さきほども言ったようにキワモノという「枠」があるわけだし。でも、いままではその枠がいくつかあったら、そこにぞろぞろと何人もの Vtuber をはめ込んでたんだよね。そのハゲの番組にしても、Vtuber の女の子キャラが3人くらい並んでるわけだけど、それが1人に減るかもしれない。でも、誰もいなくなるかと言えば、そうとも言えない。Vtuber という存在に利用価値がある限りは枠の選択肢として誰かしら残るだろうと思うよ。それは、「オカマ」っていう枠がある限り、昔ならおすぎとかピーコとかがいたところに他の人物が入るのと同じことだろう。

  1. もっと新しいノート <<
  2. >> もっと古いノート

冒頭に戻る


※ 以下の SNS 共有ボタンは JavaScript を使っておらず、ボタンを押すまでは SNS サイトと全く通信しません。

Twitter Facebook