Scribble at 2018-02-26 17:27:17 Last modified: 2022-09-24 18:28:57

本書の唯一の避けて通れない欠点、それは本になった時点でどんどん賞味期限が切れてしまうということだろう。

カスタマーレビュー:暗号の秘密とウソ

なんだか訳知り顔で書いてるレビューだけど、『暗号の秘密とウソ』のいちばんダメなレビューだと思う。このような書き方では、本書全体が賞味期限が切れているかのような印象を与えてしまうが、そんな賞味期限とはかかわりのない重要なことが書かれているからこそ、日本ではとっくに絶版だが海外ではいまだにちゃんと売れているのだ。

シュナイアーは自分で『暗号の秘密とウソ』を書いていて、技術的な論点がすぐに陳腐化するなんてことは(専門家なのだし)最初から分かってる。それゆえ、セキュリティの問題の要点は技術ではなくて人だと言っているのだ。本書が執筆時点でしか通用しない法律や技術の話を書いていて、それがこの本の欠点だと書くレビューは、要するにこの本が訴えている主旨を全く読めていないのである。

ついでに書いておくと、例えば UNIX/Linux のコマンドとか OpenSSH とか TCP/IP を解説した本なんてのは、15年くらい前に発売されたものが現在でもおおよそ使えるし、LPIC の試験勉強にすら使える。些末なテクニックばかり追いかけている人たちは、こうした基礎的な成果を JavaScript のフレームワークや iPhone アプリみたいな流行ものだと思っているようだが、数年で廃れるようなアイデアが、TechCrunch や HuffingtonPost の記者ならともかく、多くの専門家やプロフェッショナルから称賛を得るわけがない。

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